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グローバル化時代を生き抜くための外国人材活用と労務管理とは?

2025.09.16 コラム

グローバル化が加速する現代において、外国人材の活用は、単なる人手不足の解消策に留まらず、企業の競争力を高めるための重要な戦略となりつつあります。しかし、採用から定着、そして労務管理に至るまで、外国人材ならではの課題に直面することも少なくありません。本コラムでは、外国人材活用のメリットとデメリットから、採用・労務管理の注意点、そしてトラブルを未然に防ぐための具体的な対策まで、戦略的な外国人材活用について解説します。

なぜ今、外国人材活用が重要なのか?

本国内の労働人口減少が進む中、多くの企業が人材確保に苦慮しています。一方、グローバル競争の激化は、新たな市場開拓やイノベーションを企業に強く求めています。外国人材は、多様な視点や専門知識、語学力を企業にもたらし、事業の新たな可能性を切り拓く貴重な存在です。

外国人材活用のメリットと見落としがちなデメリット

メリット

多様な視点とイノベーションの創出: 異なる文化や価値観を持つ外国人材は、既存の枠組みにとらわれないアイデアや発想をもたらし、イノベーションを促進します。

新たな市場開拓: 母国の顧客や市場に関する知見を持つ外国人材は、海外事業展開の強力な推進力となります。

企業イメージの向上: 多様性を尊重する企業として、社会的な評価が高まり、優秀な人材が集まりやすくなります。

デメリット

労務管理の複雑化: 在留資格や就労に関する法規制、文化・習慣の違いなど、日本人材とは異なる労務管理の知識が必要です。

コミュニケーションの壁: 言葉や文化の違いから、意思疎通がうまくいかず、誤解やトラブルが生じる可能性があります。

定着率の課題: 日本の生活や職場環境に馴染めず、早期に離職してしまうケースも見られます。

外国人材採用・受け入れの法的要件と注意点

外国人材を採用する際は、以下の法的要件と注意点を必ず確認しましょう。

1. 在留資格の確認

外国人材が日本で働くためには、就労可能な在留資格を保有していることが必須です。不法就労者を雇用すると、企業側も罰則の対象となるため、採用前に必ず在留カードやパスポートで在留資格の種類、期間、就労可否を確認しましょう。

2. 労働契約の締結

労働条件は、日本人材と同様に、労働基準法に基づき書面で明確に提示する必要があります。特に、賃金、労働時間、休日、就業場所などを、外国人材が理解できる言語で記載することが重要です。

3. 社会保険・税金の適用

外国人材も日本人材と同様に、健康保険、厚生年金、雇用保険、労災保険の適用対象となります。また、所得税や住民税の納税義務も発生します。

定着率を高めるための労務管理のポイント

外国人材が能力を最大限に発揮し、長期的に活躍するためには、適切な労務管理が不可欠です。

1. コミュニケーションの壁を乗り越える

業務上の指示だけでなく、日頃から積極的に声をかけ、良好な人間関係を築くことが大切です。多言語対応のツール導入や、語学研修の支援も有効です。

2. 公正な人事評価

文化や習慣の違いから、日本人材と異なる評価基準を用いてしまうと、不公平感を生みかねません。成果に基づいた客観的かつ公平な評価基準を明確にし、本人に丁寧に説明しましょう。

労務トラブルを未然に防ぐために

トラブルを未然に防ぐための対策を講じることで、外国人材が安心して働ける環境を整備できます。

1. 就業規則の整備

就業規則は、外国人材が理解できるよう、多言語で作成・周知することが望ましいです。特に、服務規律、休暇制度、賃金計算方法、ハラスメントに関する規定などは、丁寧に説明し、疑問点がないか確認しましょう。

2. 相談窓口の設置

言葉や文化の壁、生活上の不安など、外国人材が気軽に相談できる窓口を設置しましょう。相談しやすい環境を整えることで、小さな問題を早期に発見し、大きなトラブルに発展するのを防げます。

3. ハラスメント対策

文化や慣習の違いから、意図せずハラスメントと捉えられてしまうケースも少なくありません。社内研修などを通じて、ハラスメントに関する意識を高め、予防策を徹底することが重要です。

外国人の採用における「適性検査」の活用

外国人材の採用において、言語や文化の壁を越えた客観的な評価は非常に重要です。そこで有効なのが、適性検査の活用です。特に、行動特性や潜在能力を測るタイプの検査は、スキルや経験だけでなく、その人のストレス耐性や協調性、主体性といったパーソナリティを把握するのに役立ちます。

まとめ:戦略的な外国人材活用へ

外国人材の活用は、単なる人手不足の解決策ではなく、企業の成長戦略そのものです。適切な労務管理と、外国人材が安心して働ける環境を整備することで、企業は新たな成長の可能性を手に入れることができるでしょう。外国人材採用に関する手続きや労務管理に不安がある場合は、専門家である社労士に相談することをお勧めします。貴社のグローバル化を、私たち社労士がサポートします。外国人人材活用についてお悩みがある方はこちらから

執筆者情報
セントラル社会保険労務士法人 代表社員/社会保険労務士 井下英誉
保有資格社会保険労務士 IPO労務コンサルタント
経歴1995年早稲田大学社会科学部卒業。大学にて労働法、組織心理学等の授業を受けたことをきっかけに、人事労務の仕事に興味を持つ。卒業後、社会保険労務士事務所に勤務しながら資格を取得。 中小企業を中心に手続業務や相談業務を3年間経験した後、中堅・大企業向けに給与・社会保険業務のアウトソーシングサービスを提供する組織の立ち上げに中心メンバーとして関わる。 3年間にわたり、上場企業、ベンチャー企業、外資系企業等、様々な規模、業態の企業に対して、日本のアウトソーシングサービスの先駆けとなる効率的なアウトソーシング手法や労務施策の導入を提案。 2001年1月に労務プランニング井下事務所を設立 2014年1月にセントラル社会保険労務士法人へ社名変更
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