「経営リスク削減のためにも、定着率向上のためにも労務リスクを削減したいが、何から手をつければいいかわからない」、「働き方改革関連法、その他労働法の改正に対応できているか不安」という経営者・人事労務担当者の方はまずは「労務監査」で現状を可視化することを推奨いたします。
外資系企業の日本支店設立時に必要な手続きとは?社労士が解説
外資系企業が日本で事業を展開する際、国内拠点の開設は重要なステップの一つとなります。しかし、開設には様々な手続きが必要となり、特に日本の法律や制度に慣れてない外資系企業にとっては難しい場面も多いでしょう。このコラムでは、社労士の視点から外資系企業の日本拠点開設時に必要な手続きについて詳しく解説します。
国内拠点開設のポイント
拠点形態の決定
拠点形態には基本的には3つの形態があります。どの形態を選択するかで、登記や税務上の取り扱いが変わりますので、注意が必要です。
1.駐在事務所
2.海外法人の日本支店
3.海外法人の子会社(日本法人)
拠点別の労働社会保険適用
|
駐在事務所 |
海外法人の日本支店 |
海外法人の子会社 |
健康保険 |
任意適用(5人未満) |
適用 |
適用 |
厚生年金 |
任意適用(5人未満) |
適用 |
適用 |
雇用保険 |
適用 |
適用 |
適用 |
労災保険 |
適用 |
適用 |
適用 |
雇用形態別の労働社会保険加入
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駐在事務所 |
海外法人の日本支店 |
海外法人の子会社 |
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日本拠点雇用 |
海外現地法人雇用 |
日本拠点雇用 |
海外現地法人雇用 |
日本拠点雇用 |
海外現地法人雇用 |
|
健康保険 |
○ |
△※1 |
○ |
△ |
○ |
△ |
厚生年金 |
○ |
△✕※2 |
○ |
△✕ |
○ |
△✕ |
雇用保険 |
○ |
△※3 |
○ |
△ |
○ |
△ |
労災保険 |
○ |
△ |
○ |
△ |
○ |
△ |
※1 海外現地法人で雇用され日本へ派遣されている外国人(エクスパッツ)であっても、日本拠点から給与の支払いがある場合は雇用関係があるとみなされ、加入対象になります。
※2 海外の現地法人で年金制度に加入している場合は、本国との2重加入を防ぐために厚生年金に加入しなくても良いケースがあります。詳細は社会保障協定を確認しましょう。
※3 エクスパッツについては、海外現地法人との雇用契約があるため、加入が免除されることがあります。
社会保険手続き上の注意
社会保険の加入
日本で従業員を雇用する場合、健康保険や厚生年金保険などの社会保険に加入することが義務付けられています。
一方で、海外から日本に来る方が本国で何らかの社会保障制度に加入している場合、本国との2重を防ぐために社会保障協定を確認するようにしましょう。
日本年金機構「協定を結んでいる国から日本で働く場合の加入すべき制度」
Q.協定を結んでいる国から派遣された人に同行する配偶者および子の社会保障制度の加入は必要?
日本に一時的に派遣された人が、引き続き派遣元の国の社会保障制度に加入し、日本の社会保障制度の加入が免除される場合は、同行する配偶者および子についても、家計が同一等の条件を満たす場合には、日本の社会保障制度の加入が免除されます。
一時的な派遣:原則として「派遣期間が5年以内と見込まれること」
まとめ
外資系企業が日本での事業展開を考える際、日本支店の設立は大きなステップとなります。しかし、日本の法律や制度に慣れていない場合、多くの手続きや注意点があります。このコラムを参考に、スムーズな設立を目指していきましょう。